発達障がいのこどもの支援方法は?こどもの特性に合わせた療育につなげるポイント
発達障がいのあるこどもは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあるため、日常生活で困りごとがいろいろと出てきます。食事の食べ方や身支度など日常生活の基本的な習慣をはじめ、人とのコミュニケーションが苦手、学習がつまづくやすい、など、こどもによって現れる特性でさまざまなケースがあるからです。
発達障がいは「障がい」ではなく「特性(生まれもった性質)」といわれていて、一人ひとりのこどもに合わせた環境づくりやトレーニングを利用すれば、生きやすい人生をサポートできます。
そこで今回は、発達障がいのあるこどもの支援方法についてご紹介します。まず、発達障がいの種類とその特徴、そして日常生活でどのような困りごとが増えるのかを見ていきます。その後、親や先生など周囲の大人はどのような対応で接すればいいのかを見ていきましょう。そして、行政や医療など適切な専門機関やサービスによる支援を組み合わせてうまく生活に取り入れる方法をご案内します。
発達障がいは脳機能の発達の偏りによる特性
発達障がいとは、人が生きて行くのに必要な能力やスキルの発達において、偏りが見られたり、遅れが出たりする状態をいいます。詳しいメカニズムは今も明らかになっていませんが、脳の機能の一部の発達に偏りがあるためという考え方げ現在の主流です。したがって、かつて言われていたような親の家庭教育や本人の性格の問題ではなく、こども一人ひとりが生まれ持っている特性といわれています。
なお、発達障がいには知的障がいをともなう場合とともなわない場合、どちらのケースも見られます。
発達障がいの主な3つのタイプとその特徴
発達障がいには、主に自閉症スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠陥・多動性障がい)、学習障がい(LD)の3つのタイプがあります。それぞれのタイプによって特徴の現れ方が異なるため、一つずつ見ていきましょう。
①自閉症スペクトラム症(ASD)
自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障がいなどに分けられていた診断名をまとめたものです。
言葉の発達に遅れがあるため、言語的なコミュニケーションが困難なこと、人とのコミュニケーションが苦手なこと、強いこだわりや興味・関心に偏りがあること、といった特徴が見られます。
言葉を額面通り受け取って、人間関係がうまくいかなくなったり、対人関係が苦手で空気を読めなかったり、自分だけのこだわりのやり方に固執したりなど、社会生活に支障をきたすことが少なくありません。視覚や聴覚といった感覚が過敏な場合、反対に鈍感な場合もあります。
②ADHD(注意欠陥・多動性障がい)
大人の発達障がいとして最近注目を浴びているADHDは、次の3つの特徴が知られています。
・不注意
集中力がなく、忘れやすい
・多動性
じっとしていられない、落ち着きがない
・衝動性
思いつきで急に行動してしまう
ちなみに、この3つの要素が強く出る場合もあれば、不注意が優勢なケース、衝動性が優勢なケースなど、人によってさまざまなパターンがあります。
③学習障害(LD)
基礎的な学習能力の獲得が難しい発達障がいです。読む、書く、話す、計算する、推論するといった能力の発達で、学習が困難になります。
学習障害をさらに細かく分けると、文字を読むのが困難な学習障害をディスクレシア(読字障害)、文字を書くのが苦手なディスグラフィア(書字障害)、計算や推論など数学的な能力に困難が生じるディスカリキュリア(算数障害)などが知られています。
学習障害は小学校就学後に見つかる場合が少なくありません。本格的な学習がスタートして同学年のこどもたちより著しく学習に遅れが生じてから、発達障がいだとわかるケースもあります。
発達障がいのこどもは日常生活でどんな困りごとがある?
発達障がいの特性の現れ方はさまざまです。ただし、発達障がいのタイプによって、ある程度の傾向が見えてきます。こどもが発達障がいを抱えている場合、3つのタイプによって次のように困りごとに違いが見られますので、一つずつ見ていきましょう。
①自閉症スペクトラム症(ASD)を抱えるこどもの場合
・言葉の発達が遅れる
同年代のこどもたちに比べて明らかに言葉によるコミュニケーションが困難です。簡単な意思表示であっても言葉で相手に気持ちを伝える、相手の会話を理解することが困難であるため、社会生活に影響がおよびます。
・コミュニケーションが苦手
こどもはもちろんのこと、周囲の大人とのコミュニケーションも苦手です。ひとりで遊んで孤立しているこどももいます。言葉の発達に遅れがあるため、こどもたちの人間関係の輪にうまく入れず、友人関係や集団行動が難しくなります。
自分の気持ちや感情、希望をうまく伝えられない、相手の気持ちをうまく察知できないため、人間関係でトラブルが多く、かんしゃくを起こしたり、暴力的な行動に出たりする場合も少なくありません。
・こだわりが強い
じぶんなりのルールや安心するアイテム、環境が決まっているため、その他のもので代用したり、急なスケジュールに対応したりするのが困難です。
たとえば、通学ルートでたまたま道路工事をしていてどの道が通れないとなった場合、そのルートでないと納得できないこだわりがあると、わめいたり、登校を嫌がったり、日常生活そのものに影響がおよびます。
自閉症スペクトラム症(ASD)では代表的な特徴ですが、強いこだわりや変化を好まない特性のため周囲からはわがままや自分勝手と思われることもよくあります。
・暴力的な言動
言葉の遅れやコミュニケーションが苦手、こだわりが強い結果、周囲との関係で自分が不快な状態になるとかんしゃくをおこしたり、パニック状態に陥ったりします。頭を柱に打ち付ける自傷行為や抜毛症(髪やまつげなどを自分で引き抜く)になるこどももいます。
・感覚過敏/感覚鈍感
光や音など周囲の環境に敏感で、強い刺激と感じる場合があります。偏食をはじめ外出が苦手、肌ざわりが自分に合う服でなければ着られない、といった強いこだわりが生まれます。
一方で、感覚が鈍感なこどももいます。声をかけても振り向かない、転倒でケガをしても気づかない、こどもも発達障がいのこどものなかで見られることがあります。
②ADHD(注意欠陥・多動性障がい)を抱えるこどもの場合
・集中力がない
集中して勉強ができない、宿題や仕事などやらなければならず期限が決まっているものでも、やる気が起きなくて放置している、など、学校生活や社会生活に支障をきたす特性が強く現れるこどもが多くいます。
・注意力がない
注意力が低いため、忘れ物をはじめケアレスミスが多く目立ちます。宿題をしていても学校に持ってくるのを忘れたり、宿題そのものをやることを忘れていたりすることも珍しくありません。何度注意しても繰り返してしまって、先生から繰り返し叱責される、友人関係を壊してしまう、といった場合が頻繁に起こります。
・じっとしていられない
じっと座って授業を聞けなくて席を立ったり教室から出て行ったりしがちです。また、行列に並んで順番を守るが苦手で、割り込みでトラブルを起こす場合もあります。衝動性が強く、感情のコントロールが苦手なため、すぐイライラする、手が出るといった対人トラブル、自暴自棄な行動を繰り返すこともあります。
・集団行動や地道な作業が苦手
ADHDをもつこどもは、ちょっとした刺激で勉強の時間でもすぐに他のことが気になる、授業中でおしゃべりばかりする、先生やほかのお友だちに合わせて行動できない、など、集団で動いたり、コツコツと物事を取り組んだりするのが苦手です。
③学習障害(LD)を抱えるこどもの場合
・読み書きが苦手
文字を覚えられない、たどり読みやつっかえながら読んでしまう、短文しか理解できない、など読みが苦手です。また、ひらがなは書けるが漢字を書くのは苦手、作文が苦手といった書くことが困難なこどももいます。
・算数が苦手
簡単な計算も苦手で、数の概念をうまく理解できない、といった場合も。数式を使う、合理的な流れで結論を導き出すといった推論が難しい場合があります。
発達障がいのあるこどもへのさまざまな支援方法
発達障がいを抱えるこどもさんに対する支援は、行政や医療、民間などさまざまなレベルでおこなわれています。自閉症スペクトラム症やADHDかもしれないと思ったら、発達外来や小児神経科など児童発達の専門医を受診したり、保健所や児童福祉の窓口で相談したりすることが第一歩です。
行政が運営する療育センターをはじめ病院やクリニック、民間団体による発達支援のサービスが発達障がいのあるこどものために支援活動をしています。いつでも気軽に相談できる窓口もあれば、福祉サービスによっては前もって市区町村で手続きをしてから利用ができるサービスもあるなど、そのスタイルもさまざまです。
発達障がいの特性によって日常生活の困りごとを抱えているこどもに対して、一人ひとりの状態に合わせた支援方法の一つが療育です。療育で利用できる拠点やサービスには、次のような施設があります。
1.保健所・児童相談所
市区町村単位で保健所や保健センターが設置されていて、乳幼児健診や予防接種、各種検査、医療相談などを受け付けています。育児相談の窓口もあるなど、発達障がいのあるこどもの困りごとを気軽に相談できます。
また、児童相談所は、こどもの育児全般の相談の窓口です。健康管理や育児の知識、虐待を防止する活動をおこなっています。
2.発達障害者支援センター・子育て支援センター
発達障がいを抱えるこどもから大人と、その家族や関係者を支援する公的機関のひとつです。保険や医療をはじめ教育や福祉など、発達障がいを総合的に支援する拠点になっています。全国に約70ヶ所の発達障害者支援センターがあります。
乳幼児のこどもとその親が交流を深めるための公的機関が、子育て支援センターです。交流会や子育てセミナーの場で気軽に子育ての悩みや不安を相談したり、専門家のアドバイスを受けたりできます。
3.児童発達支援・放課後等デイサービス
発達障がいのあるこどものための発達支援を提供する療育施設のひとつです。全国各地に公営や民間による施設が点在しています。
療育施設の代表的な存在で、未就学児(小学校入学前)のこどもは児童発達支援事業所に通所します。一方で、小学校就学から高校生までの児童は放課後等デイサービス(放デイ)に通所して利用するサービスです。
とくに放課後等デイサービスは、施設によってさまざまな療育方針やプログラミングがあって多彩です。日常生活に必要な基本的なスキルを身につける指導をおこないながら、宿題をサポートする、遊びの場を提供する、趣味や習い事のプログラムに力を入れている、運動療育やソーシャルスキルトレーニングに強みがある、など放デイごとに特徴を持っています。
児童発達支援センターをはじめ児童発達支援事業所、放課後等デイサービス(放デイ)といった支援施設は児童福祉法に基づいています。
発達支援事業所や放課後等デイサービスを利用するためには、通所受給者証(受給者証)を市区町村に申請しなければなりません。地域療育センターでは、相談を受けて、診察や検査の結果から療育方針を検討。こどもの状態や特性に応じて集団療育や個別療育を組み合わせながら療育をスタートします。
まとめ:発達障がいのこどもの支援方法は?こどもの特性に合わせた療育につなげるポイント
脳機能の発達の偏りが原因と考えられている発達障がいは、3つのタイプがあって、それぞれ日常生活の困りごとに特徴があります。言葉の発達に遅れがある場合、コミュニケーションが苦手な場合、学習や社会生活に支障をきたす場合など、さまざまです。
発達障がいのあるこどもには、療育と呼ばれる発達支援のサービスを活用して、困りごとを減らして、日常生活を送りやすいスキルを身につける必要があります。
「放デイ」と呼ばれる放課後等デイサービスのように、小学校から高校の放課後を利用して帰宅するまでの時間を、療育が受けられる施設で過ごすサービスを利用するこどもたちは多くいます。たとえば、吹田や茨木、高槻のこどもたちが数多く通っているNew Step大阪では、ソーシャルスキルトレーニングや柳沢運動プログラムを中心に、発達障がいのこども一人ひとりの特性に合わせた発達支援を積極的に提供する教室です。
発達障がいを抱えるこどもの支援方法は一つではありません。ですが、放デイは日常生活で必要な生活スキルを身につけたり、学習や遊びの場として広く活用されている場所です。こどもの困りごとで育児に行き詰まっていたり、小学校に上がるタイミングで今後のお子さんの教育について色々考えている親御さんは、ぜひ一度気軽にNew Step大阪までご相談ください。
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