発達障がいのこどもはつま先歩きになる!?自閉症スペクトラム障がいの特徴的な行動といわれる理由(1)
発達障がいのあるこどものなかには、つま先歩きをすることが少なくありません。かかとを浮かせてつま先立ちをしながら歩くつま先歩きは、発達障がいの特徴的な行動といわれています。
日常生活でお子さんがつま先歩きをしていたら「発達障がいかもしれない」と心配になる親御さんもいらっしゃるようです。
つま先歩きは発達障がいのあるこどもたちが1〜2歳の歩き始めから見られる行動のため、自閉症スペクトラム障がい(ASD)の早期発見につながるケースもあります。
そこで今回は2回に分けて、発達障がいのあるこどもとつま先歩きについて解説します。
つま先歩きとは?
発達障がいのなかでも自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性のひとつといわれるのが、つま先歩きです。尖足歩行とも呼ばれています。
つま先立ちをしながら歩いたり、歩くときにずっと内股になっていたり、歩行時に片方の足でもう片方の足を踏みながら歩いてしまったり、いくつかの特徴的な行動が歩行に見られることがあります。
とくにつま先歩きは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障がい)の特性を持って生まれたこどもによく見られるため、「つま先歩き=発達障がい」と思ってしまう親御さんも少なくないようです。
つま先歩きの原因は?
自閉症スペクトラム障がい(ASD)をはじめ、発達障がいのあるこどものつま先歩きは、次の3つの原因があるといわれています。
原因その1.足の感覚過敏が強いから
感覚過敏の特性を持っている場合、足の裏やかかとの一体に感覚過敏が強く出て、歩行するとき地面に足が付くたびに違和感を覚えることがあります。
歩くたびに不快な感覚が出てしまうため、できるだけつま先立ちをしてかかとを浮かせて歩くことで、嫌な感覚を避けようとしているのです。
発達障がいのあるこどもの場合、つま先歩きが一般的ですが、つま先周辺に感覚過敏が集中しているこどものなかには、つま先を浮かせてかかとで歩くこともあります。
足の感覚過敏が原因の場合、裸足で地面を歩くとき、畳やカーペットなど、素材によって症状が出る場合など、一人ひとりでつま先歩きをする場所が異なることがあるので、注意して観察しましょう。
原因その2.足の刺激を感じたいから
気に入った感覚を繰り返して味わう傾向のことを「常同行動」と呼びます。発達障がいのあるこどものなかには、つま先歩きをしたときの感覚が心地よい、気持ちいいと感じて、ずっとつま先立ちをしたまま歩いていたくなる場合があります。
また、感覚過敏の反対の特性である感覚鈍麻のため、もっと刺激を味わいたいと思って、つま先歩きをすることもあります。ちなみに、自分で特定の感覚刺激を作り出すことを自己刺激と呼びます。
原因その3.眠気を覚ましたいから
脳のなかで、体のバランスや気持ちの安定、自律神経の働きを司る前庭覚の刺激を感じにくいこどもがいます。外部の刺激を受けても眠気を催してしまうため、もっと前庭覚を刺激しようとつま先歩きで脳に刺激を与えて目覚めようとしている可能性が考えられています。
眠気を覚ましたいとき、体を動かしたり、腕をつねったりするのと同じ感覚です。
原因その4.生まれつきの病気が隠れているから
発達障がいとはちがって、先天的に足首や膝などを動かしづらい病気が潜んでいる場合があります。
ただし、つま先歩きは、1〜2歳で顕著に現れるため、発達障がいの疑いもあるものの、その他の可能性も考えていかなければなりません。
つま先立ちやつま先歩きの原因である発達障がいや病気、感覚特性といったものから特定するためには、医師や療育センターなどへの相談が必要です。
障がいや病気の種類によっては、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受ける必要があります。
つま先歩きが気になるときはどこに行けばいい?
こどものつま先歩きを相談したいときは、乳幼児健診のほか、療育センターや保健所などがおすすめです。
病院の場合は、まず整形外科や小児科がよいでしょう。必要に応じて、発達外来や神経内科などに紹介をしてもらえます。
病院では、症状に応じて頭部のCTスキャンやMRI検査をおこなって、つま先歩きの原因を探ります。ただし、1〜2歳の場合は、定型発達のこどもたちのなかにもつま先歩きをすることもあるため、つま先歩きをしているからといってすぐに発達障がいと結びつけることはよくありません。
発達障がいの可能性を考えるときは、言葉の発達の遅れやコミュニケーションの苦手さ、強いこだわりといった特性がないかを中心に判断するからです。
まとめ:発達障がいのこどもはつま先歩きになる!?自閉症スペクトラム障がいの特徴的な行動といわれる理由(1)
こどものつま先歩きには、いくつかの原因が考えられます。発達障がいの特徴的な行動といわれますが、関節や筋肉の問題など、先天的な病気の場合もありますので、注意が必要です。
もしつま先歩きが気になるときは、整形外科や小児科に相談して検査や治療の指示を仰ぎましょう。
次の2回目の記事では、発達障がいとつま先歩きについて、さらに詳しく解説していきます。
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