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2023-04-10

発達障がいのこどもが増加している理由とは?(2)

13年で10倍に増加しているといわれる発達障がいのあるこどもたち。

文部科学省のデータを見ても、2012年に6.5%だった通常学級で発達障がいの可能性があり特別な支援を必要とする小中学生は、10年後の2022年に8.8%と増加しています。

ただ、この数値のこどもはすべて医学的に発達障がいの診断を受けているわけではなく、いわゆる「発達障がいのグレーゾーン」と呼ばれるこどもも含まれていることがポイントです。

では、そもそも発達障がいとはどのように医学的な診断が行われるのでしょうか。また、グレーゾーンの特徴とはどのようなものでしょうか。

発達障がいの基本的な情報について整理しておきましょう。

発達障がいとは

2002年から10年ごとに文部科学省が実施している「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」は、発達障がいの診断の有無にかかわらず、教育現場で発達支援のアプローチが必要かどうかで調査したものです。

そのため、厳密に言えば、発達障がいの診断を受けていないこどもも多く含まれていることになります。

発達障がいとは、生まれつき脳機能に偏りがあり、幼少期からさまざまな言動面や感情面で特性を持っている状態です。こどもが生きづらさを感じやすい、大人が子育てや教育で悩む場合が多い、といった問題も生じます。

発達障がいの主な種類は次の5つです。

  • 自閉症スペクトラム症(ASD)
  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • 学習障がい(LD)
  • チック症
  • 吃音

とくに、1番目から3番目までの種類は、一般的にも知名度が上がってきました。そのため、自閉症スペクトラム症やADHDという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

発達障がいの診断のポイント

発達障がいは医師が診察や必要な検査を行ったうえで、総合的に診断して初めて確定します。

そのため、発達障がいの疑いのある人や、可能性の高い人も医師の診断を受けていない限りは発達障がいには分類されません。ただし、発達障がいの傾向が強く、日常生活や社会生活で困りごとや生きづらさを感じているため、グレーゾーンとして社会的なサポートが受けられるようになってきました。

発達障がいは、主に小児科や精神科、小児神経科や発達外来などを受診して診断を受ける必要があります。総合病院や大学病院で発達障がいを診察している医療機関でも相談を受け付けています。

医師は、アメリカ精神医学会の定めた『DSM-5』と呼ばれる診断基準をベースに診断をします。

たとえば、自閉症スペクトラム症(ASD)の診断基準は次の通りです。

1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
3.発達早期から1、2の症状が存在していること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット

このほか、ADHD(注意欠如・多動症)や学習障がい(LD)なども『DSM-5』で詳細な診断基準が定められています。

医師はまず、こどもやその家族に問診をし、心理士などによる行動観察を指示します。また、心理検査や発達検査などをおこなうケースが一般的です。結果を『DSM-5』の診断基準と照らし合わせ、問診や行動観察などで本人がどの程度日常生活や社会生活に困難さが生じているかなどを踏まえて、総合的に診断を下します。

グレーゾーンとは

発達障がいの診断は医師だけができます。一方で、発達障がいのグレーゾーンという言葉自体は、医学的な用語ではありません。あくまで、発達障がいの特性があるものの、医学的診断までは下りなかった状態を呼びます。

ただ、医学的に診断を受けられなかった場合でも、日常生活の困りごとは少なくないため、適切な支援が必要です。

極論すれば、ギリギリのところで発達障がいの診断基準に満たなかったこどもをイメージすれば、発達障がいの診断を受けたこどもと同じようなサポートの必要性がわかるでしょう。

まとめ:発達障がいのこどもが増加している理由とは?(2)

発達障がいの医学的診断は医師にしかできません。ただ、発達障がいの認知度が高まったこと、生活環境や社会の変化などによって発達障がいのあるこどもが増加していることがポイントです。

グレーゾーンを含めて発達支援が必要なこどもは確実に増加傾向にあり、日常生活や社会生活の生きづらさを和らげるため、適切なサポートにつなげる必要があります。

そこで次の3回目の記事では、発達障がいの診断を受けたこどもは、発達障がいのグレーゾーンのこどもの特徴や接し方、支援方法などをまとめて紹介します。

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