発達障がいのこどもは不安が強いってホント!?不安の原因とその対処法を考えよう②
不安が強いなか日常生活を送っている発達障がいをもつこどもたち。発達障がいをもつこどもは、一般のこどもより不安が強く、とりわけASD(自閉症スペクトラム症)のこどもは他の発達障がいの種類に比べても不安が強い傾向にあります。
ASDをはじめADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)などの発達障がいをもつこどもは、それぞれの特性(症状)によって日常生活で生きづらさを感じながら暮らしています。ちょっとした環境の変化でパニックになる、生活スキルやコミュニケーションスキルが身につきづらいため手段生活で孤立しやすい、学習に付いていけないため学力が伸びづらい、など、心身の成長に大切な時期のこどもにとって生きる上での困難を抱えているのです。
そのため、日頃から適切に配慮した発達支援や学習指導を続けていくことが大切です。発達障がいをもつこどもの特性を捉えた対応をすれば、こどもが抱えている不安感や緊張感は和らいでいって、落ち着いた気持ちで生活ができます。
それでは、不安が強いこどもの気持ちを安定させるには、どのような対応や配慮が必要なのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
発達障がいをもつこどもへの4つの対応
1.コミュニケーションでの対応
ちょっとした生活環境の変化でも不安が強くなるため、引っ越しや入学・卒業、クラス替えなどの時期はとくに心のケアが大切です。それまで落ち着いていたこどもでも、人生のイベントを迎えて突然不安や緊張が強くなって、日常生活全般に支障をきたしたり、パニックを繰り返したりするケースがあります。
不安が強くパニック状態のこどもには、いつもなら理解できていた言葉や表現でも戸惑ってしまう場合も少なくありません。そのため、コミュニケーションではより丁寧でわかりやすい言葉づかいや表現を工夫する必要があります。こどもの目を見ながら会話する、口を大きく開けて伝える、単純かつ簡単な言葉を選ぶ、短文でセンテンスを切りながら話す、など、工夫をしましょう。また、こどもに話す前に「これから大切な話をするよ」「今から話す3つのことを聞いてね」といったように、前置きしてから話すと、こどもは聞く姿勢を取れるので安心してコミュニケーションに臨めます。
また、こどもが話をしているときはできるだけ話の途中でさえぎったり、言い返したりしないことが大切です。こどもが何かを伝えたいときはただ単に情報や意見を伝えたいだけではありません。その時々の感情や気持ち、不安や興奮などを含めて聞いてあげる姿勢ことがポイントとなります。コミュニケーションのやりとりのなかで焦らないこと、じっくりとこどもに向き合って会話を積み重ねること。そうした大人の姿勢で不安が強いこどもの心の緊張を軽減させることができます。
2.環境や行動での対応
発達障がいの種類によっては感情の制御が難しい、感覚過敏で常に不安や緊張を抱えている、といったこどもたちがいます。心の状態がいつもアンバランスなため、新しい環境や音や光が賑やかな空間に溶け込めず、不安が強くなったり、緊張でパニック状態になるケースが増えていきます。
こどもの周囲の環境を配慮することも、こどもの不安を和らげるのに欠かせません。新しい環境や騒々しい場所の中でもこどもたちが少しでも落ち着いて過ごせる場所や物、人や遊びなどを取り入れましょう。
まず、不安や緊張が強く興奮状態のこどもに対しては、いきなり環境や行動での対応に慣れさせようとするよりも、不安や緊張の強い気持ちそのものを理解する心構えが大切です。大人の都合で落ち着かせようとすると、かえってこどものペースが乱されて不安が強くなったり、パニック状態になったりしかねません。ある程度、こどもが落ち着いてきたら、静かな場所に連れて行く、こどもの好きなおもちゃや物を与える、一緒に遊んでみる、といった試みをしてみてください。
不安が強い状態のこどもは、普段なら効果的なアプローチも届かない場合があります。ただ押さえつけたり、叱ったりするだけでは、こどもの感情はさらにコントロールが効かなくなってしまうため、こども一人ひとりに合った環境や行動を整えていくことが重要です。
3.メンタル面での対応
発達障がいをもつこどもの発達段階は個人差が大きく、こどもによっては慣れ親しんだ環境にいると一般のこどもと一緒に学習したり遊んだりできるケースも少なくありません。ADHDやLDなどの発達障がいの種類によっても異なりますが、新しい環境でも地道に慣れるようにリードしていけば、少しずつ集団生活に溶け込んで安心できる場所のひとつになります。
しかし一方で、慣れるまでのプロセスは特別に配慮しなければならない場合も多く見られます。これまでと環境の異なる場所、本人のやり方やルールとはちがって突発的に発生する体験、うまくできず失敗が続いて自信を失う、などメンタル的に不安定になって生活そのものがうまくできない、不安や緊張が強まるといったリスクに注意する必要があります。
メンタル面での対応で大切なポイントは、不安が強い状態の子どもの気持ちや感情をそのまま受け止めることです。その上で、不安や緊張による日常生活で困難なことにどう対応すれば良いのか、具体的に教えていきましょう。また、ちょっとした学習や遊びの積み重ねを通して、自信を付けさせる、スキルを段階的に伸ばしていくアプローチも大切です。こどもはできることが増えれば増えるほど、自信につながって、日常生活での不安や緊張も和らいでいきます。配慮をつづける大人やこどもたち同士のコミュニケーションを通じて、不安が強い状態から自分で気持ちや感情をコントロールできるこどもへと変化していくはずです。
4.学習指導での対応
発達障がいの中でも学習面で集中力がつづかないこどもにとっては、試行錯誤を重ねながら学習サポートしていく必要があります。いま自分がやっている学習の意味がわからない、どのくらいの時間や分量をこなせばいいかイメージがわかない、といった場合、集中できない、モチベーションが維持できないといったケースが多く見られるからです。
また、昨日までできていた内容でも、今日はできなくなっている場合も少なくありません。それまでの努力がリセットされて一から指導をしなければならない場面に出会っても、根気よく基礎から丁寧に指導していくきめ細やかな配慮が必要です。
また言葉だけに頼ることなく画像やイラスト、表や図を多用して、イメージがわきやすい指導を心がけましょう。また、目標までのプロセスはできるだけ細かなステップに分けて、ひとつの固まりが終わったらしっかり褒めて自信を感じられる学習指導が大切です。
目標を達成したことに加えて、一生懸命取り組んでいる姿勢を十分に褒めてあげましょう。
ASD(自閉症スペクトラム症)のこどもの対処法
発達障がいのなかでも、ASDのこどもはとくに不安が強い傾向があります。そのため、発達段階に応じて、こどもの不安をどのように受け止めて軽減していくかが、成長に大きく影響していきます。
ASDの診断を幼児期に受けたこどもであれば、早期に発達支援を通じて療育の現場で生活スキルやコミュニケーションスキル、基礎学力などを総合的に伸ばすチャンスが広がります。放課後等デイサービスなど発達支援の施設で一人ひとりの特性に合わせながら、徐々に集団生活になじめるようなサポートをおこなうと、成長過程において感じる日常生活の不安や緊張を和らげる効果が期待できるでしょう。
とくにコミュニケーションのツールで重視されがちな言葉の扱い方を指導することと合わせて、イラストや画像、タブレットなどを使って視覚的な理解や指導をするように心がけてください。イメージをより具体的に頭の中で描けるようになれば、不安や緊張が軽減されて、メンタル面で落ち着きを取り戻したり、パニック状態になりづらい条件を整えることができます。
ASDをもつこどもは、思春期に入ると不安やうつの症状が出るケースがあります。環境の変化や生活面での違和感がないかをチェックした上で、症状に応じて小児神経科や心療内科などで専門医に受診して、抗不安剤や抗うつ剤を処方してもらうことも検討してみましょう。
まとめ:発達障がいのこどもは不安が強いってホント!?不安の原因とその対処法を考えよう②
発達障がいを抱えるこどもは不安が強いという特徴があります。ADHDやLDをはじめASD(自閉症スペクトラム症)のこどもはとりわけ不安や緊張を感じやすいので、発達段階に合わせて適切な支援や指導が必要です。
コミュニケーションや環境・行動面、メンタルケアや学習指導といったさまざまな場面でのきめ細やかな配慮がポイントとなります。
ASDをもつこどもは、発達障がいの特性により不安が強いケースが多く見られます。こどもが落ち着いて過ごせる環境を整える、コミュニケーションスキルを伸ばすように言葉やイラスト、画像などを工夫して伝える、思春期以降で不安やうつ症状が強い場合は、専門医に相談するほうがよい場合もあります。
本人が安心できる場所づくりのひとつでよく活用されているのが、放課後等デイサービスです。さまざまな発達障がいのこどもが放課後や休日に通所してコミュニケーションやソーシャルスキルを学んだり、学習支援を受けたり、集団生活になじめるような遊びや運動をおこなったりしています。
吹田のNew Step大阪も、そんな放課後等デイサービスのひとつです。大阪にある3つの教室では、発達障がいをもつこどもたちが発達支援のプロのスタッフのサポートを受けながら、放課後の時間を有意義に楽しく過ごしています。こどもの不安や緊張が強くて悩んでいるときは、ぜひ一度ご相談ください。
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