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2022-10-24

発達障害のこどもの伸ばし方とは?個性や得意を伸ばすためのポイント(1)

発達障がいのあるこどもたちは、脳の機能に偏りがあるため、できないことや苦手なことと、できることや得意なことが極端に分かれている場合が多く見られます。

言葉の発達に遅れがある、コミュニケーションが苦手など、発達障がいをネガティブに捉える見方は今も残っていますが、すぐれた才能や個性を伸ばして得意なことを育むことが大切です。

こどもたちの個性や得意を見つけて、大きく育てるにはどのような伸ばし方をすればいいのでしょうか。

そこで今回は2回に分けて、発達障がいのあるこどもの伸ばし方について解説します。発達障がいの特性を改めて見直すことで、適切な療育を通した得意の伸ばし方を考えていきましょう。

苦手なことや得意なことはどんな人にもある

発達障がいのあるこどもたちは、不得意なこと、苦手なことが多く、社会で生きづらいといわれています。また、得意と不得意の差が極端で、好きなことにはずっと没頭し続けられるのに、興味が無いことにはまったく集中できないなど、強みと弱みが極端なこともポイントです。

人はだれでも、苦手なことや不得意なこととを持っています。発達障がいではない人も、人間である以上、何かしらのコンプレックスを抱えて生きている一方で、ある分野には自信がある、練習もしていないのいすぐできる、といった得意なものもあるのが普通です。

一人の人間のなかにある得意なことや苦手なことは、実は表裏一体の場合も少なくありません。

例えば、発達障がいのADHD(注意欠陥多動性障がい)の特性のひとつに「衝動性」があります。授業中でも気になることを見つけたら、突発的に教室を出てしまうことは社会生活からいえばマイナスなことかもしれません。しかし、言い換えれば、好奇心や冒険心がある、興味や関心のあるものに対してまっすぐに行動へ移す、という特性でもあるのです。

発達障がいの特性とは

そこで改めて、発達障がいの特性を種類別に振り返っておきましょう。発達障がいのあるこどもと関わる上で、苦手なことや不得意なことを個性や才能と捉え直すことができる良い材料となるかもしれません。

ここでは、とくに言葉の発達に遅れがなく、場合によって高い知的能力を示す場合もある自閉症スペクトラム障がい(ASD)を取り上げます。マイナスと考えられがちな特性も、見方を変えれば強みになることを一緒に見ていきましょう。

自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性その1.コミュニケーションが苦手

自閉症スペクトラム障がい(ASD)のこどものなかには、言葉の発達には目立った遅れがないことも多く見受けられます。むしろ、年齢以上にたくさんの言葉を知っていたり、大人でも難しい用語を次々と使って話すこどももいるほどです。こどもによっては、年齢に合わないほど大人びた表現を使って、周囲の大人をびっくりさせることもあります。

難しい単語や表現を次々覚えて使える能力は非常に素晴らしいものです。ただし、自閉症スペクトラム障がいのこどもたちは、そうした単語や表現を単に知識として蓄えていることがほとんとで、実際に生活の場にふさわしい言葉使いでコミュニケーションができるかというと、また別の問題といえます。そのため、大人びた言葉を使うこどものなかには、話すときの抑揚がなく「立て板に水」のようにずっと同じ調子でしゃべりつづける、オウム返しばかりする、同じ表現ばかり使い続ける、といったケースが少なくありません。

一方で、言葉の裏側に潜む相手の真意や意図を汲み取るのが苦手なため、言葉を文字通り受け取ってしまってトラブルとなる場合もあります。とくに、比喩や嫌味といった遠回しの表現の理解が苦手なため、失敗したとき「平気な顔してすごいな」といわれてほめられたと勘違いするなど、コミュニケーションのギャップが生まれて喧嘩につながることも日常茶飯事で起こります。

自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性その2.こだわりが強い

自分だけのルールで物事を進めないと気が済まないといった傾向が強く見られます。季節に関係なく好きな服を着続ける、外出先の部屋やバス・電車で同じ席に座りたがる、など同じ行動パターンから外れてしまうとパニックを起こすこともよくあります。発達障がいのあるこどもたちは安定した毎日を求めていて、少しの環境の変化も嫌う多いものです。

こうした偏ったこだわりは、成長による認知機能の向上や学習経験の蓄積によって目立たなくなるケースが一般的です。変化に対する不安から自分を守ろうとする気持ちがこだわりを強くしているので、日常体験が積み重なると自然に変化したときの対応方法を本人なりに身につけるからと考えられます。

強いこだわりを持つことは、物事を順序よく進める原動力になります。また、自閉症スペクトラム障がいのこどものなかには、極度に集中力を見せるこどもがいて、興味のあることや得意なことが見つかれば一気に才能を開花させるきっかけにもなるでしょう。こうした「過集中」が強い人は、学習面や運動面、趣味や特技などで世間を驚かせるような成果を出すことも珍しくありません。

自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性その3.感覚過敏

視覚や聴覚、触覚などの五感のなかで、過敏な感覚を持って生まれることがあります。視覚過敏のこどもは、強い直射日光やカメラのフラッシュなどが苦手な一方で、一度見た物をそのまま映像として記憶できる能力に長けた才能を持っているこどもが見られます。

また、ちょっとした物音や人混みに出るだけでパニックになってしまうようなこどもが、絶対音感を持っていて楽器を練習するとあっという間に上達してしまう、といった聴覚過敏のこどももいます。

発達障がいのこどもによく見られる感覚過敏は、一般的な五感を超えた繊細な力を持っているだけに、日常生活に支障をきたすことがある反面、とてつもない強みとなる可能性も秘めているのです。

まとめ:発達障害のこどもの伸ばし方とは?個性や得意を伸ばすためのポイント(1)

ここまで見て来たように、発達障がいのうちとりわけ自閉症スペクトラム障がい(ASD)のあるこどもたちは、強みと弱みが表裏一体となっていることが特徴です。

そのため、障がいの特性のための生きづらさをどうやって緩和するかといった問題を支援する一方で、得意なこと、才能を伸ばすサポートも求められます。

そこで、次の2回目の記事では、さらに個性や得意の伸ばし方について解説していきます。

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