発達障がいのこどもは普通学級に入れるのがベスト!?将来を左右する小学校の進級先選び①
発達障がいのこどもたちにとって、大きな節目となるのが小学校入学で普通学級に入れるかどうかという問題です。
幼児期に発達障がいの疑いがあるといわれた、グレーゾーンの可能性があるかもしれないと思っている親御さんからすると、発達障がいのあるお子さんの小学校選びに悩んでしまう場合が多く見られます。
発達障がい児の場合、小学校の候補に挙がるのは、地域の小学校の普通学級または特別支援学級のほかに、特別支援学校への進学や進級です。
そこで今回から3回にわたって、発達障がいのあるこどもの小学校の進級先についてご紹介します。
普通学級や特別支援学級の違いやメリット、デメリット、特別支援学校を選んだ方が良いケースなど、発達障がいと診断されたり、グレーゾーンの疑いがあるこどもたちにとってよりより小学校選びとは何か、一緒に考えていきましょう。
発達障がいとグレーゾーン
発達障がいには、大きく分けて次の3つの種類があります。
・自閉症スペクトラム症(ASD)
・注意欠陥多動性障がい(ADHD)
・学習障害(LD)
それぞれ障がいの特性は異なるほか、1種類だけでなく複数の種類が重なって現れる人も少なくありません。
このうち、医師によって診断を受けた場合は発達障がいと呼ばれています。
一方で、発達障がいの傾向がある場合を「グレーゾーン」と呼びます。
グレーゾーンとは専門用語ではなく、一般的に表現される言葉です。つまり、医学的な基準によって発達障がいであると診断できるまでではないが、かなりの部分に当てはまる状態を表します。
つまり、グレーゾーンの度合いによっては、発達障がいのある人と日常生活の困りごとでほぼ大差がない場合もあれば、一部の生活シーンでやりづらいことがある場合もあるなど、発達障がいにも幅広いバリエーションがあるのです。
3つの発達障がい
ここからは、発達障がいで代表的な3種類の特徴や症状についてご説明します。
1.自閉症スペクトラム症(ASD)
かつて自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれていた発達障がいで、現在はまとめて自閉症スペクトラム症(ASD)に呼び方が変更されました。
言葉の遅れが目立ってコミュニケーションスキルが育ちづらいこと、興味や関心が極度に偏っていることなどが主な症状です。また、聴覚や視覚、触覚などの五感で感覚過敏を表す人もいます。
ASDと診断されたり、グレーゾーンの疑いがある場合、小学生の高学年になってコミュニケーションが複雑になってくると困りごとが一気に増えてきます。単純な言葉だけでやりとりしていた低学年と違って、進級するにつれてジェスチャーや身振り、微妙な表情や言葉のトーンなど、ノンバーバルコミュニケーションを読み取ることが重要になってくるからです。
ASDのこどもたちは、相手の気持ちを読み取ることや言葉の裏側に潜む真意をキャッチすることが苦手なので、クラスメイトとの人間関係でつまづいてしまいます。
2.注意欠陥多動性障がい(ADHD)
不注意、衝動性、多動性の3つの特性が典型的な症状です。
忘れ物や失せ物が多かったり、集中力が乏しく同じ作業が苦手だったりします。また、授業中じっとしていられず、教室内を歩き回ったり、急に教室の外へ飛び出していったり、ずっとしゃべってるこどもも見られます。思いつきで突発的に行動する、相手の話をさえぎって自分のことばかり話してしまうのも、ADHDによく見られる特徴です。
ADHDやグレーゾーンのこどもたちは、宿題を忘れる、授業に必要な物を持ってこない、授業中に私語が多い、じっとイスに座っていられない、といった症状で小学校の学習についていけなくなります。また、時間の感覚が乏しいため、提出物の期限に遅れてしまう、遅刻が多いなど、集団生活に支障をきたすようになります。
本人のやる気や意識と違ったところでADHDの特性が現れてしまうため、先生やクラスメイトに注意やからかいを受けると、コンプレックスとなって自信を喪失してしまうこどもたちも少なくありません。
3.学習障害(LD)
基礎的な学習能力である読み書きや計算のうち、ある分野のスキルだけが極度に伸びづらい障がいです。
小学校入学で本格的な学習が始まってからわかる場合が多い発達障がいです。文字や文章を書いたり、計算をするのが苦手なので、小学校の授業からどんどん送れていきます。
このように、発達障がいやそのグレーゾーンのこどもたちは、小学校入学によってクラスメイトとの差が広がって、学校になじめない、自信を育めない、といった負のスパイラルに陥る可能性が高くなるのです。
まとめ:発達障がいのこどもは普通学級に入れるのがベスト!?将来を左右する小学校の進級先選び①
発達障がいの種類によって、小学校に入学した場合の困りごとはさまざまです。学習面はもちろんのこと、集団生活のルールやクラスメイトとのコミュニケーションなどでつまづくこどもたちが多く見られます。
発達障がいと診断された場合をはじめ、グレーゾーンの疑いのあるこどもたちも症状の現れ方によって、授業についていけない、クラスメイトと仲良くなれない、といった学校生活での悩みが深刻になっていきます。
それでは、発達障がいのあるこどもはどのように進級先を選べば良いのでしょうか。次回は普通学級と特別支援学級の違いを中心に解説していきます。
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