発達障がいのこどもの叱り方とは?正しいしつけのための伝え方③
前回の記事では、発達障がいのあるこどもに不適切な叱り方で接してしまうと、特性によってきちんとお子さんに意図が伝わっていない、こどもが混乱してかえって逆効果になったり、自信を失うことになったりすることをお伝えしました。
・「どうして!?」と理由だけ聞くようなフレーズを使ってしまう
・名前だけで呼びかけて注意する
・大きな声やからだに触れて叱る
こうした叱り方は、定型発達のこどもにはマッチするかもしれませんが、発達の偏りが見られるこどもたちには適切ではない場合が多くあります。
そこで今回の記事では、正しいしつけのための適切な叱り方をご紹介します。
正しいしつけのための適切な叱り方、3つのポイント
1.叱る基準を明確にしておく
自閉症スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障がい)のこどもは、日々のさまざまな言動でしつけの必要を感じたり、事あるごとに注意しなければならない気持ちにさせられたりする場合が少なくありません。
ちょっとしたことでもガミガミ怒ってしまうことは、親御さんなら誰しも一度は経験があるでしょう。脳の働きに偏りをもって生まれた発達障がいのあるお子さまが相手となれば、なおさらです。
だからといって、重箱の隅をつつくような細かなことまでいちいち叱ったり、こどもの発達のペースを考えずに何でこかんでも叱ってしまうのは考えものです。
そこで、次の2つの基準をしっかりと決めて、それに反するこどもの言動があったときに叱る、というふうに決めておきましょう。
1)心や体を傷つけること
2)善悪や道徳、マナーに関すること
家族や兄弟姉妹はもちろんのこと、周囲の大人やお友だちに対しても、暴言や暴力をふるうことがあります。発達障がいのあるこどもの場合、言葉によるコミュニケーションスキルの発達が遅れていて、つい手が出てしまって相手を傷つけることも少なくありません。
また、かんしゃくやイライラといった自分の気持ちを抑えるために、自分で自分の頭を柱に打ちつける、頭皮をかきむしる、といったストレス解消行動に出る場合もあります。
生命や健康に関わるいたずらや言動があったときは叱る、という基準作りはとても大切です。
一方で、必要以上に叱らない、できるだけ見守っていくこどもの言動には、片付けや忘れ物、宿題などをやらない、できないといった日常生活でよくあるシーンです。こうしたまだやっていない日々の行動は、丁寧に説明したり、本人のモチベーションしだいでやる可能性がまだ残っています。声掛けや見守りをしながら、こどもができるまでサポートしていくのがおすすめです。
2.具体的にわかりやすく明確に理由を伝える
発達障がいのあるこどものなかには、あいまいな表現や言葉の裏を読み取るのが苦手なお子さんがいます。
「ティッシュペーパーを出し続けるのが楽しい」
そんなこどもには、どのくらいの枚数を使うのが適切なのか、具体的に伝えなければこどもにはわかりません。
「いっぱい取ったらダメ」「必要なぶんだけ取って」などあいまいな表現を理解するのが困難なこどもにとっては、「いっぱい」「必要なぶん」がわからないため、混乱していまったり、こども本人の基準でやってしまうからです。
また、「無駄にティッシュペーパーをたくさん使ったら、○○が怒るよ」というような表現も避けるべきです。「嘘も方便」でそういう表現をした場合、もしそのときになって怒られなければ、「言われていたのとちがう」と不信に感じてしまいます。
3.親子のコミュニケーションを親密に
適切な叱り方の前提となるのは、お子さんと親御さんの間で日頃から親密な会話やコミュニケーションが取れていること。こどもの気持ちや考え方、特性がよくわからないまま叱ったのでは、不適切な注意になってしまいますし、ただ叱られるだけの親にはこどもも信頼が持てなくなってしまいます。
普段から信頼関係を築く、こどもを丁寧に観察している、といった姿勢で過ごしていれば、叱るときは叱る、褒めるところがあれば十分に褒める、といったバランスのよい接し方ができるはず。
しつけだからといってただ叱る一方では、こどもの心身の成長は望めません。こどものプライドを育てて、自信をつけさせること、行動を繰り返して色々なことにチャレンジする心を育てること。そうした意識も大切となります。
まとめ:発達障がいのこどもの叱り方とは?正しいしつけのための伝え方③
3回にわたって発達障がいのあるこどもの叱り方について一緒に見て来ました。障がいの特性によって、発達障がいを抱えているこどもたちは、日常生活で苦手なことが多くあります。
育児のなかで、あれこれ叱りたくなったり、イライラしたりすることも少なくないでしょう。しかし、適切な叱り方をしていないと、お子さんは自信をなくしてしまって、しつけや体験の積み重ねでできるようになるはずのことまでできなくなってしまいます。
そこで大切なことは、正しい叱り方でこどもに対処することです。少なくとも、叱る基準を明確にすること、具体的に伝えること、そして日頃から親子のコミュニケーションを取っておくこと。この3つのポイントを意識しながら、こどもの成長に役立つ叱り方をしましょう。
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