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2022-08-31

発達障害のあるこどもの叱り方とは?子育てで大切な正しい接し方を考えよう

「発達障がいのあるこどもの叱り方がわからない」
「とくに発達障がいのこどもはなるべく叱らないほうがいい」

育児をしていると、発達障がいのあるお子さんを叱ったり、注意したりしなければならない場面が毎日訪れるのではないでしょうか。社会のルールやマナーから外れたこと、相手の心や体を傷つけることなど、お子さんを正しく叱ることはこどもの発達を促して、社会で生きて行く力を身につけるために欠かせないことです。発達障がいがあってもなくても、きちんとこどもを叱って、生活習慣や社会のルールを教える必要があります。

ただし、やってはいけないことや周囲に迷惑になる言動をしてしまった場合、ただ感情的に叱ればいいというわけではありません。発達障がいの特性やお子さんの個性に合わせた正しい叱り方で、お子さんの行動をリードしていく意識が何より大切です。

そこで今回の記事では、なぜこどもを叱らなければならないのかその重要性について考えていきます。その上で、発達障がいを抱えるこどもに合わせた正しい叱り方を解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

こどもは「適切な叱り方」で大きく成長する

「発達障がいのあるこどもを叱るとよくない」という話を聞いたことはありませんか。発達障がいの有る無しで、叱り方にちがいを付けることは必要な場合があります。しかし、小さなお子さんをまったく叱らずに育てるという話ではありません。

人は生まれてから、親や家族、周囲の大人たちからしかられながら成長していきます。もしまったく叱られる経験がなければ、こどもはやっていいこととよくないこと、相手の気持ちを傷つけることを理解しないまま、大きくなってしまうでしょう。

「発達障がいのあるから、叱ると自信をなくしてしまうかもしれない」
「できるだけ叱らないほうが、気持ちが安定して過ごしてくれる」

そんなふうに考える親御さんの気持ちもよくわかります。しかし、こどもに対して、叱らなければならないタイミングで適切に叱ることは、こどもが経験を積んで成長するプロセスで非常に大切なことなのです。

よくあるこどもを叱るシーン

まず、どんなときにこどもを叱っているのでしょうか。具体的な例をいくつか見ていきましょう。

・壁に油性ペンやボールペンなどで落書きをする
・制服やよそ行きの服でお絵かきや泥遊びをする
・ティッシュペーパーを好きなだけ取り出して遊ぶ
・おもちゃで遊んだ後に片付けない
・宿題をやらずに遊び続ける
・忘れ物が多い
・時間にルーズ
・何でもすぐ口答えする
・後先を考えず衝動的に行動する
・買い物に行ってずっと泣きながら物をねだる
・友だちとのトラブルが多い
・公共の場でずっと騒がしくする

子育てをしていると、こうした場面はよくあることでしょう。育児や家事、仕事など忙しい毎日に、お子さんのいたずらや言うことを聞かないシーンが次々とやって来ると、親御さんの気持ちに余裕がなくなってつい怒ってしまうのは珍しくありません。

こどもはなぜ叱りたくなることをするのか?

こどもがいたずらや家庭や社会のルールに反することをしてしまう理由としては、次の2つが考えられます。

まず、親や大人の注意を引いて、自分を見てもらいたいからです。心理学で「注意獲得行動」と呼ばれているもので、いたずらはこどもが自分を注目して欲しくて、悪いことだとわかっていていたずらややんちゃな行動を取ります。

注意引き行動とも呼ばれるいたずらは、親が自分を見てくれているか、いざというときに安心できる距離感にいるかどうかを確認して、「自分は守られているんだ」と実感するための行動のひとつです。

もうひとつは、生きるためのルールがまだ身につけていない、しっかり理解できていないケースです。こどもは、成長過程で親の教育や自分の経験をもとに、少しずつ社会のルールや家庭のしきたりを学んでいきます。小さなお子さんであれば、例えば公共の場で騒ぐと周囲の人に迷惑がかかる、という客観的な視点をまだ持っていないため、家で遊ぶのと同じようにわいわいと大声で騒いでしまうのです。自分たちしか見えていないために起こってしまうケースといえるでしょう。各家庭によってしきたり、つまり生活する上でのルールは異なります。また、社会のルールを学ぶことも、年齢や障害の有無などで多少差があるため、親御さんが叱らなければならない場面が集中する時期もあるのです。

いたずらをしたらしっかり叱ろう

お子さんがいたずらをしたら、すぐにその場で叱るようにしましょう。いたずらの原因が注意獲得行動の場合、親が叱ったり怒ったりせずスルーしてしまうと、こどもは「自分のことを見てくれていないのかな?」「こっちに関心が無いのかな」とかえって不安になってしまいます。こどもへの無関心や放任主義が続くと、愛着障がいに発展しやすいといわれるのはこのためです。

いたずらや悪いことをしたら、すぐに叱ること。そうすれば、こどもたちは、「お父さんやお母さんは自分たちのことをちゃんと見てくれているんだ」と安心して過ごすことができます。

親子関係のなかで、注意引き行動は少しずつなくなっていくものです。何度も親の近くでいたずらをして叱られるといった体験を積み重ねることで、こどもは「いつどんなときもお父さん、お母さんが見守ってくれている」という安心感を学習します。その結果、心理的に親とつながっている感覚が自然になって、距離が離れていたり、その場に親がいなくても不安を感じなくなるからです。

小さなお子さんの場合、いつでもどこでも親に付いて来て、親離れが心配で厳しく育てようと考える人がいますが、このようにいたずらをすると叱られるという繰り返しによって、少しずつ親子の物理的な距離感が離れていくため、いたずらや悪いことをしたときはしっかりと叱るようにしましょう。

親子が心理的につながっている実感を持ちながら、実際の距離感は離れていくことを、「母子分離」と呼びます。こどもが大人になっていくプロセスで非常に大切な関門のひとつです。いたずらや悪いことをしても周囲の大人が反応せず叱らない状態が続いてしまうと、親子の距離感がうまく取れなくなって子どもの自立を妨げてしまう恐れが生まれます。

ただし、親がこどもに関心を示すことが大切だからといって、感情的に起こったり、体罰をしたりすることはかえって逆効果です。叱り方で大切なポイントはあくまで冷静な態度でこどもに接するようにしましょう。そして、叱リ方のコツは、叱る対象となった行為(いたずらや悪いこと)をやってはいけない理由をきちんと説明することです。こどもたちは、社会のルールやマナー意識、相手への思いやりなど、叱られた経験を積み重ねながら、その場でやっていいことや悪いこと、社会で許される行為を学んでいく大切なプロセスになるでしょう。

発達障がいのあるこどもで取り入れたいCCQテクニックとは

こどもの叱り方の基本は、先程までお伝えしたことです。

・いたずらや悪いことをしたらすぐにその場で叱ること
・なぜやってはいけないのか具体的に説明しながら伝えること

もっと具体的に心がけたいポイントとして、叱り方の基本を3つご紹介します。

・穏やかな声で叱る(Calm)
・こどもに近づいて叱る(Close)
・静かな声で叱る(Quiet)

こうした3つのポイントを踏まえた叱り方を「CCQテクニック」と呼び、それぞれ英語の3つの単語の頭文字を取ってネーミングされたものです。

感情的な怒鳴り声や大きな声は、子どもに心理的な不安を与えてしまいます。また、何度も感情的な叱られ方が続くと、こどもは親が叱っていても内容をスルーするようになって、心に響かなくなる場合も少なくありません。

発達障がいのあるこどもは、大きな声や相手の感情を敏感に感じ取り、不安を大きくさせてしまう可能性があります。そのため、叱るときはとにかく冷静にすることが大切です。もし感情的になってそのまま叱りたくなるときでも、一呼吸置いてこれから叱る内容を頭の中で整理してからお子さんと向き合うようにしましょう。

発達障がいあるこどもの叱り方、3つのポイント

ここからは、発達障がいのあるこどもを叱るときに心がけたい、3つのポイントについて解説します。

ポイント1.叱る基準をしっかり決めておく

同じことをやっていても、昨日は叱られなかったのに、今日は叱られてしまった、というような体験が積み重なると、こどもはどんなときに叱られるのかわからないため、混乱してしまいます。以前は叱られたのに、今回は叱られなかった、という逆のパターンでも、もやもやとしてストレスになったり、次のときには感情的に怒られたりして、パニックになってしまうおそれもあるからです。

とくに、発達障がいのあるこどもの場合、その都度、叱られる基準が違っていると、頭が整理できなくて、ストレスからさらにいたずらや悪いことをやってしまう可能性も生まれます。

叱る基準をはっきりと設定しておくとき、次の2つの基準を意識して考えておきましょう。

・人としてやってはいけないこと
他人の体や心を傷つけることや、道徳やモラルに関することは、きちんと説明しながら叱るようにしましょう。

例えば、お友だちと遊んでいて嫌なことがあったとき、手を出す、人格や容姿を否定するような暴言を吐く、といった場合です。

また、自分の体を傷つける自傷行為についても、やめさせるためきちんと叱る必要があります。

・家庭や社会のルールが守れないとき
おもちゃで遊んだのにそのままにして片付けない、最初に約束して時間を過ぎてもゲームをし続けている、など、親子で決めたルールを守れないときは、しっかり理由を説明しながら叱ります。

また、公共の場で騒ぐ、お店で商品を壊そうとする、といった社会性に関わる問題行動も、守れなかったその場で適切に叱ることが大切です。

ポイント2.イラストや絵を使って叱る理由を説明する

発達障がいのあるこどものなかには、言葉の発達の遅れがある、会話による説明を理解するのが苦手、といったケースが少なくありません。お子さんの発達障がいの特性に合わせて、叱る理由の伝え方を工夫する必要があります。

言葉よりも視覚的に理解してもらうには、守るべきことやルールをイラストや絵、文字でカードに書くといった方法で、目で見てすぐわかるかたちにすると理解がしやすくなります。

もし、遊びに夢中で時間が過ぎてもやめないときは、タイマーのアラームをサインにする、次の行動を示すイラストを渡す、といった方法で、こどもはルールを守りやすくなるでしょう。

ポイント3.普段から親子の距離感を近づけておく

日頃から、親子間のコミュニケーションを親密にして、お互いの信頼を築いていくことが大切です。自信をつけさせて親に信頼感を持ってもらうには、積極的にほめる、ポジティブな声掛けをする、会話やスキンシップのある時間をできるだけ長く持つ、といった工夫をしましょう。

とくに、日常生活で当たり前と感じてしまう、生活習慣については繰り返しほめるようにしてください。

朝、時間通りに起きられたとき、言わなくてもちゃんと着替えができていたとき、ご飯を食べられたとき。

大人からすれば当たり前な行動でも、ひとつひとつほめることでこどもは自信と安心感を得ていきます。

ほめる言葉はシンプルでOKです。

例えば、朝時間通りに起床していたときは「今朝はちゃんと起きれてえらいね!」というように、こどもの行動をダイレクトにほめるだけでかまいません。

こどもはポジティブなアプローチを繰り返し受け取ることで、自信がついていきます。自分から行動する姿勢もできていくと、頭と心の成長にも効果的です。気持ちが安定するため、いたずらや悪いことも少なくなって、叱るシーンも減っていくケースが少なくありません。

発達障害のあるこどものNGな叱り方とは

発達障がいのあるこどもの叱り方は、障害の特性に応じた配慮したものではなければなりません。こどもの叱り方の基本は定型発達のこどもたちと同じでも、一人ひとりの障がいの特徴を把握しながら、きめ細かい叱り方を工夫する必要があります。

例えば、次のような叱り方は、発達障がいのあるこどもに対しては不適切なため気をつけなければなりません。

叱り方NGその1.名前だけを呼んで注意する

いたずらや悪いことをしているのを見かけて「こら!太郎くん!ダメでしょ!!」と叱る光景はよくありふれたものです。しかし、大声と強い言葉とともに名前だけを呼んで注意する叱り方は、発達障がいのあるこどもたちにはうまく理解してもらえない場合が大半です。

発達障がいのうち、自閉症スペクトラム障がい(ASD)のお子さんは、相手の気持ちを読み取ったり、その場の空気を感じ取ったりするのが苦手です。また、「こら!〇〇くん!」だけでは、自分のどういった行動に対して、具体的に言葉をかけられているのか、理解できずにぽかんとしてしまいます。

名前だけを呼ぶ叱り方は、定型発達のこどもたちには、それだけで「今やっていることは悪いことでダメだから注意されたんだ」と理解できます。しかし、発達障がいの特性があると、どんなに怒りの表情や声色で呼びかけても、「親や大人が自分に何か用事があって名前を呼んでいるんだな」程度にしか理解ができません。このように、ASDをはじめ発達障がいの特性によって、相手の言葉や表情の裏にある意図をキャッチするのが苦手なため、叱ったことにはならない場合が多いのです。

そのため、きちんと理解してもらうには、名前を呼びかけた後、具体的に何がダメでやめなければいけないのか、言葉できちんと声掛けする必要があります。「〇〇くん、遊びの時間は終わったから、おもちゃを片付けて」「〇〇茶ん、今〇時だから、お出かけのために着替えをして」といったような具体性が何より大切です。

叱り方NGその2.できるだけ叱らないようにする

「発達障がいのあるこどもたちを叱るのは成長のためよくない」という話をよく耳にします。しかし、いたずらや悪いことをそのままにして、叱らずにスルーするのは、こどもの成長にとってマイナスになります。

どんないたずらやルールでやってはいけないことをしたときでも、すべてポジティブに受け入れようとする態度で接すれば、こどもは自分がやりたいようにやっていいんだ、と誤った自己肯定感を身につけてしまうでしょう。叱らなければならない場面で、肯定的に捉えてほめたり、評価したりすることは、正しい生活習慣や社会のルール・マナーを学べないまま成長してしまうからです。

発達障がいの特性があるからといって、まったく叱らなくて良い分けではありません。こどもたちが学校や社会で自立できるように、やっていいことや社会で必要なルールをしっかりと身につけるためにも、いたずらや悪いことをしたタイミングでしっかりと適切に叱ることが不可欠です。

叱り方NGその3.理由を問いただす叱り方はやめる

こどもを叱るとき、「やめなさい」「ダメ!」の次ぎに出てくる言葉を思い出してみましょう。「なぜこんなことしたの!?」や「どうしていつもいたずらばかりするの!」という、こどもに理由を問いかける言葉ではないでしょうか。

「なぜ」「どうして」というフレーズは、こどもを叱るときによく使われています。定型発達のこどもたちには、いたずらややってはいけないことをしてしまった意味を考えさせたり、これからやらないようにする気持ちを芽生えさせるのに効果的かもしれません。しかし、発達障がいのあるお子さんに対しては、理由を問いただす叱り方は適切とはいえないやりかたです。

名前だけを呼んで注意しないお話のところでも登場しましたが、発達障がいのなかでも自閉症スペクトラム障がい(ASD)のこどもは、言葉をそのまま受け取ってしまう傾向が強く現れます。

たとえば、ずっと洗面台で水遊びをして、あたりが水びたしにしていたこどもに「どうしてこんなことするの!」と注意したとき、「楽しかったから」「水が冷たくて面白いから」と質問を文字通りの受け取って、いたずらややってはいけないことの理由を真っ正面から答えるお子さんが少なくありません。

そんなとき、さらに親が叱ってしまうと、「質問にちゃんと答えたのに、どうしてまた怒るの?」と理解ができずに、パニックになってしまうケースがよく見られます。大人の質問にまっすぐ答えたのに叱られるといった体験が重なると、こどもは自信を失うきっかけになっていきます。

大人からすれば、目の前でなぜこどもがいたずらや悪いことをしているのか、その理由を問いただして、こどもに「なぜしてはいけないのか」という意味を考えてもらいたいはずです。しかし、発達障がいの特性をしっかり踏まえたうえで叱らないと、親子この気持ちにすれ違いが生まれて、ますます叱る回数だけが増えていくおそれがあります。

まとめ:発達障害のあるこどもの叱り方とは?子育てで大切な正しい接し方を考えよう

発達障がいのあるこどもたちにも、いたずらや悪いことをしたら、適切に叱る必要があります。ただし、障がいの特性に応じて、配慮しながら叱り方を工夫することが大切です。

ただ、感情的に大声で叱るのではなく、叱る基準を決めておいて、冷静に穏やかに叱るようにしましょう。また、普段から親子のコミュニケーションを図って、叱ったときにダイレクトに思いが伝えられるような関係づくりをしておくこともポイントです。

定型発達のこどもたちとは違った叱り方のNGポイントもありますので、お子さんと接するときには常に発達障がいの特性を意識しながら適正な叱り方ができるように心がけましょう。

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