発達障がいのあるこどもの支援のしくみ|療育や発達支援のサービスまとめ
発達障がいと診断されたこどもには、できるだけ早い段階から適切な支援をおこなうことが大切です。
発達障がいの種類によって異なる特性をはじめ、こども一人ひとりの個性や能力に合わせた発達支援が求められます。
療育と呼ばれることも多い発達支援の目的は、発達障がいによって日常生活のさまざまなシーンで支障をきたしているこどもたちの悩みや不安、こまりごとを解決することが第一です。そして、こどもが一人で自立して生活しながら社会との関わっていくサポートをつづけます。
そこで今回の記事では、発達障がいのあるこどもに対する支援についてご紹介します。療育の場でおこなわれている発達支援のサービスや施設などをまとめて見ていきましょう。
発達支援はこどもの自立と社会参加を目指す
発達障がいのあるこどもを対象にした支援方法の柱となるのが、療育です。発達支援を呼ばれることもあります。
かつて、身体障がいのあるこどもに対する治療と教育をおこなうことを「療育」と呼んでいました。現在よりも狭い意味で使われていましたが、現在では身体障がいをはじめ発達障がいや知的障がいなど障がいをもつこどもたちの発達を支援するアプローチをまとめて「療育」と呼んでいます。
こどもの成長でよく見かける発達段階ということば。年齢に応じてこどもは段階的に発達しながら成長していくというイメージが一般的です。
しかし、こどもはどの子を見ても、発達のしかたやスピードはそれぞれちがいがあります。生まれつきの才能や、得意や不得意がさまざまななため、こどもによって同じ年齢でもできること、できないことは千差万別です。
ある程度、標準的な成長の流れをモデル化はできます。しかし、とりわけ障がいをもつこどもたちは、発達のしかたや障害の種類、その特性によって、定型発達のこども以上にできることとできないことの差が大きかったり、才能やスキルを伸ばすまでに時間と体験が必要だったりするのがポイントです。
発達障がいにはASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障がい)をはじめLD(学習障害)など、いくつかのタイプがあります。
言葉の遅れ、興味や関心の偏り、じっとしていられない、集中力がつづかない、などこどもの特性に合わせたサポートが将来のこどもの人生に大きく影響します。
発達支援では具体的に、こどもによって異なる苦手な分野を集中的に指導していきます。言葉によるコミュニケーションが困難なこどもに対して、発音やフレーズを教える、言葉の選び方を学ぶ、コミュニケーションの取り方のポイントを伝える、といった総合的なサポートをおこないます。あわせて、発達障がいをもつこどもの親御さんや家族へのサポートも重要になってきます。
一次的障がいと二次的障がい
発達障がいのあるこどもへの支援を考えるとき、一次的な問題と二次的な問題に分けて考えることが必要です。
発達障がいの一次的障がいとは、それぞれの障害の種類によって現れる特性(症状)によるダイレクトな悩み事のこと。例えば、ASD(自閉症スペクトラム症)であれば、コミュニケーションスキルが困難、対人関係が苦手、興味や関心が偏っている、同じルールにこだわる、といった特徴があります。
こうした一次的障がいによって日常生活を続けるうちに、さまざまなストレスやネガティブな体験から、生き方全体に影響を及ぼしてしまうのが、二次的障がいと呼ばれるものです。
二次的障がいの代表的なものには、うつ病や統合失調症などの精神的な疾患をはじめ頭痛や腹痛、睡眠障害といった身体的な症状のほか、ひきこもりや不登校、暴力行為など、社会生活に支障をきたす問題があります。
発達支援では、こうした発達障がいから直接現れる一次的な障がいだけでなく、日常生活を生きづらくしてしまう二次的障がいへのサポートも大切です。
発達障がいのあるこどもへの支援サービス
発達障がいのあるこどもの療育の場として広く活用されているのが、行政が設置する児童発達支援センターのほか児童発達支援事業所や放課後等デイサービスです。
児童発達支援センターや児童発達支援事業所の対象年齢は0歳から6歳までの幼児で、個々の子どもの発達障がいに合わせて集団支援または個別支援を組み合わせて提供しています。
小学校入学から高校生までのこどもたちは、学校が終わってから通う放課後等デイサービス(放デイ)に通います。
発達支援の実際の流れ
ASD(自閉症スペクトラム症)をはじめ発達障がいのあるこどもたちへの支援の中心は療育(発達支援)です。
発達支援は、先ほど紹介した地域ごとの児童発達支援センターをはじめ児童発達支援事業所や放課後等デイサービスを中心に提供されています。
このほか、医療機関や民間で発達支援のサービスをおこなっているケースも増えています。
なかでも、児童福祉法によってサービスがおこなわれているのが、
・児童発達支援センター
・児童発達支援事業所
・放課後等デイサービス
の3つの福祉施設です。
こうした発達支援サービスを利用する場合、まず市区町村役場に「受給者証(通所受給者証)」を申請して、交付を受ける必要があります。相談窓口は各自治体の障がい福祉関連の部署や保健センターが担当です。希望する施設に相談すると、利用手続きに先立って申請方法のアドバイスが受けられます。
発達支援では、集団療育と個別療育を組み合わせて実施しているケースが大半です。集団療育とは2人から10名程度の少人数グループに分けて、みんなでゲームや遊びを楽しみます。集団活動のルールを身につけるほか、コミュニケーションスキルやソーシャルスキルのトレーニングにつなげます。
一方でこどもと専門スタッフのマンツーマンでおこなう個別療育は、発達障がいのあるこどもの個々の発達段階や特性に応じてきめ細かなフォローが受けられるのが特徴です。
発達障がいのあるこどもが受けられる公的支援・サービス
ASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障がい)など発達障がいのあるこどもは、条件次第で行政から療育手帳または精神障害者保健福祉手帳の交付を受けられる場合があります。
一般的に療育手帳と呼ばれる手帳ですが、自治体によって名称が異なっていて、「愛の手帳」または「みどりの手帳」と呼ぶこともあるので知っておきましょう。
療育手帳を受けると、次のような公的支援やサービスが受けられます。
・税金・社会保険料などの減免
・公共料金(電気・ガス・水道など)や電話料金の割引
・公共交通機関(電車やバス、飛行機など)の割引
・公共施設や映画館、テーマパークなどへの入場料の無料・割引
・所得控除
発達障がいのあるこどもの家族への支援
発達障がいのあるこどもをもつ親御さんや家族へのサポートプログラムもさまざまな場所で提供されています。
①ペアレント・トレーニング
発達障がいのあるこどもの保護者が参加して、発達障がいの育児や教育に関連するセミナーを受けます。座学のほか、ロールプレイを通してシチュエーションごとの対処法を学んだり、ホームワークで学習を深めたりしています。
ペアレント・トレーニングの目的は、こどもとの接し方を個々のこどもに合わせておこなえること、あわせて親子で抱えている日常生活でのこまりごとを解決することの中心です。
②ペアレント・メンター
各自治体の発達障害者支援センターなどがおこなっています。発達障がいのあるこどもを子育てした経験のある保護者が一定の研修を受けてペアレント・メンターになります。現在、発達障がいのあるこどもの育児中の保護者の相談を受け付ける、イベントやセミナーで体験談やアドバイスを話す、といったサービスを提供しています。
③親子通園
療育の場に親子一緒に参加して、こどもとの接し方を学びながら発達支援を受けられる取り組みです。一部の児童発達支援センターや児童発達支援事業所がおこなっています。
保護者を対象にした学習会も開催されていて、発達支援の専門家が実際におこなっている療育方法を直接体験しながら親御さん自身の育児やこどもとの接し方のポイントを身につけることが可能です。
④ピアサポート
保護者が集まって親の会や支援の場を設けています。育児の体験を語り合う、子育ての悩みを相談し合う、など、当事者同士で本音を話しながら支え合うしくみです。ASD(自閉症スペクトラム症)をはじめ発達障がいの種類別に親の会が全国各地で開催されています。
発達障がいのあるこどもを支援する資格
児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなど、発達障がいのあるこどもを支援する施設のスタッフのなかには、次のような発達障がい児の支援資格を取得していることが多く見られます。
代表的なものには、児童発達支援士や発達障害児支援士資格、子ども発達障がい支援アドバイザー講座があります。いずれも民間資格で、一定のカリキュラムを受講して試験に合格すると資格が取得できます。
まとめ:発達障がいのあるこどもの支援のしくみ|療育や発達支援のサービスまとめ
発達障がいのあるこどもには、早いうちから専門的な療育や発達支援の機会を与えることが大切です。
障がいの種類や特性に合わせた発達支援によって、日常生活の困りごとを解決したり、コミュニケーションスキルやソーシャルスキルを身につけたりできます。
とくに児童福祉法による児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービスは、発達障がいと診断されたこどもたちが多く利用する療育施設です。小学校に入学すると利用できる放課後等デイサービスは放デイとも呼ばれていて、学校終わりの時間を遊びや運動、学習などで有意義に過ごしています。
吹田にあるNew Step大阪もそんな放課後等デイサービスのひとつ。発達支援の専門スタッフによるソーシャルスキルトレーニングや運動療育によって個々の発達段階に合わせたきめ細かなサポートが受けられます。発達障がいのあるこどもの発達の支援方法で悩んでいるなら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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