吹田の発達障がいのこどもの親が受けられるペアレントトレーニングとは?
発達障がいのこどもをサポートするには、まず親御さんの理解が必要です。
近年、発達支援の現場では、こども本人の支援だけでなく、養育者である親や家族の支援も重視されるようになりました。
こどもが小さいうちに発達障がいであると気づくこと、そして発達障がいの特性に合わせた子育てや教育をおこなうことによって、症状を悪化させたり、引きこもりやうつといった二次障害を引き起こしたりするのを防ぐ効果が期待できます。
そこでこの記事では、発達障がいのあるこどもの親を取り巻く社会状況について、行政や医療、発達支援などの視点から解説します。
国レベルで進む発達障がい者の支援体制
発達障害者支援法によると、地方自治体は、家族に対する適切な対応をしなければならないことに加えて、相談や情報提供、助言、さらに家族間でお互いに支え合うための支援活動に努めなければならないと定められています。(第十三条)
また、発達障がいと診断されたこどもはもちろんのこと、疑いがあるこどもの親に対しても適切な支援につながる相談や情報提供、助言による支援の必要性を明記しています。(第五条の3)
一方で、国は「発達障害者支援体制」の整備を推進してきました。都道府県・指定都市や市町村の関係機関によるネットワークを構築して、発達障害者支援センターや医療機関などと連携して支援活動を行う仕組みです。
家族への支援を強化するため、平成26年度からペアレントトレーニングの新メニューを追加して、家族によるサポート力向上を目指しています。
幼児期の親への支援を通して早期発見につなげる
発達障がいに気づいてから診断を受けるまで
イギリスでおこなわれた発達障がいの親に対する調査によると、自閉症の親がこどもの発達障がいに気づいたのは生後18か月、アスペルガー症候群の場合は約30か月でした。
また、診断の確定時期は自閉症の親は約5.5年、アスペルガー症候群の親は約11年もかかっています。
自閉症もアスペルガー症候群どちらの親も、幼児期の頃から社会性の発達が気になるケースが多く見られました。ただ、アスペルガー症候群はコミュニケーション能力の発達の問題に気づきにくい傾向があります。診断時期まで約5年の開きがあり、適切な支援を受けるまで時間がかかり親の負担が大きいことが問題です。
こどもの発達障がいに気づいたとき、親は?
「もしかするとうちの子、発達障がいかも?」
親が発達障がいの疑いを感じるのは、どんなときでしょうか。
気づくきっかけとしては、次のようなシーンが一般的です。
- 同じくらいの年のこどもたちと遊んでいる様子を見て・・・・・・
- 学校や公園などでのこども同士のトラブルが増えて・・・・・・
- 学校や先生、医師や周囲の人たちから指摘されて・・・・・・
- 兄弟姉妹の心身の成長と比べて・・・・・・
このように、日常生活のさまざまなシーンでこどもの発達の特徴に気づく機会があります。
では、もし発達障がいかもしれないと気づいた場合、親御さんは次のような不安が襲ってきます。
- 自分のこどもの発達の遅れを認めたくない事実を否定する気持ち・・・・・・
- 発達障がいの可能性を指摘した人に対する怒り・・・・・・
- 相談や受診をすると発達の遅れがある事実を認めてしまう・・・・・・
- こどもが発達障がいかもしれない噂が広がってしまうかもしれない・・・・・・
- 相談相手や相談窓口がわからない・・・・・・
- 夫や妻、親や義理の親などに責められるかもしれない・・・・・・
最近では、こうした親御さんの不安に対して、保健師、保育園や幼稚園の先生など、こどもが成長するにつれて関わりができる専門家のサポートに期待が高まっています。
例えば、保育園や幼稚園でも、発達障害者支援体制のネットワークを担う施設として、こどもたちの支援を優先する姿勢を取るところが一般的です。
発達障がいのこどもを育てる悩みに寄り添うため、育児に関する親の悩み相談を受け付けることはもちろん、担任だけでなく管理職やベテランも含めたチームでのサポートをはじめ、保健師や支援センター、相談窓口との連携など、親の不安を和らげながら適切な支援につなげています。
診断を受けた後の親へのフォローアップ
こどもが発達障がいと診断されたときの思い出は、ほとんどの親御さんにとって一生消えることがないシーンです。診断告知をすぐに受け入れられることは難しく、納得がいかず怒りや不安が膨らんでしまう親御さんも少なくありません。
ただ、実際に診断を受けた親御さんには次のような気持ちの変化が生まれます。
- ずっと発達障がいかもしれないと疑っていた不安が解消されて、気持ちが新たになった
- これからこどもにどうやって接すればいいのか道筋が見えてきた
- 発達障がいの特性を学んでこどもの理解や対応法がわかった
このように、発達障がいの診断は、親の人生にとっても大きな出来事です。医師や保健師、園の先生たちといった専門家のサポートも重要ですが、診断告知を受けた後、具体的な子育ての悩みや親の不安感に寄り添ってくれる支援が求められます。
その支援のひとつが、発達障害者支援体制に組み込まれたペアレントトレーニングの中のペアレントメンターの存在です。
ペアレントメンターは親のための相談相手
ペアレントメンターとは、子育ての悩みを抱える親が親に相談できる相談者のことです。
子育てをしていると、さまざまな悩みが押し寄せます。
- 小学校入学後、こどもがちゃんと学校に馴染めるか心配
- 発達障がいの診断を受けたものの、どうやってこどもに接すればいいのかわからない
- 日常のちょっとした気持ちを誰かに聞いてもらいたい
- 近所の遊び場所を知りたい
そんなとき、保護者の先輩であるペアレントメンターは、子育ての知識と経験に基づいて、良き相談相手になってくれます。
ペアレントメンターを利用するメリットとは
ペアレントメンターには、次の2つのメリットがあります。
- 高い共感力を持っている
- 実際の経験や地域で子育てした親にしかわからない知識や情報を持っている
高い共感力を持っている
ペアレントメンターは、障がい児を育児中または育児経験のある親がなれます。障がいを持つ親の子育てで生まれる不安や悩みを共感できるので、より深く親に寄り添うサポートが可能です。
実際の経験や地域で子育てした親にしかわからない知識や情報を持っている
実際の育児経験から得た知識やスキル、地元の「ママ友」同士のつながりからキャッチした地域の情報などを共有できます。
ペアレントメンターとつながるには?
ペアレントメンターは養成研修を修了し、自治体に登録しなければ活動できません。詳しい情報は各自治体の発達障害支援センターまたは日本ペアレントメンター研究会が提供しています。
なお、発達外来や心療内科など、こどもの発達障がいを診察している病院によっては、医師がペアレントメンターの利用を勧めるケースもあります。
ペアレントトレーニングの特徴
ペアレントメンターのほかに、親自身が親としての役割や療育のポイントを学ぶペアレントトレーニングも有効です。
ペアレントトレーニングは1960年代のアメリカを中心に広がった親のためのプログラムで、知的障がいや自閉症のこどもに対して親はどのような自立訓練や声掛け、問題行動への対応をすればいいかがまとまっています。
日本で普及しているペアレントトレーニングは、こどもとの関わり方や家庭での指導法など、さまざまなプログラムが用意されており、発達障がいのあるこどもの支援はもちろんのこと、家庭での虐待防止、こどもの二次障害の予防など広がりを見せています。
親が養育スキルを磨く、精神面でのセルフコントロールのコツを覚えるといったプログラムを通して、育児のストレスを減らしたり、こどもに適切な発達支援をするきっかけに役立つものです。
ペアレントトレーニングのプログラム
発達障がいのこどもの親を対象にしたペアレントトレーニングは、大きく分けて自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠陥多動性障がい)の2つがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)のプログラムでは、身辺自立やコミュニケーション能力の促進、社会性や問題行動を防止するといったポイントから親としての接し方を学びます。一方で、ADHD(注意欠陥多動性障がい)のプログラムは、こどもの問題行動の改善のため、親子関係の促進や親のストレスマネジメントなどの内容で構成されています。
コアエレメントと呼ばれるプログラムに共通する要素は、次の6つです。
- こどもの良いところを探してほめる
- こどもの行動をタイプに分けて理解する
- 行動理解(ABC分析)
- こどももが達成しやすい指示をする
- こどもの不適切な行動への対応を学ぶ
- 環境調整をして行動が起きる前の工夫をする
実際のプログラムでは、前半で座学による講義を受けた後、後半はグループワークで実践する構成となっています。
例えば、こどもの特性理解や良いところ探しでは、「ほめようシート」を使ったホームワークをしたり、こどもへの伝え方を考えるグループワークでは、ロールプレイで伝え方のテクニックを実現したり、自然に定着する工夫がされています。
ペアレントトレーニングの効果
実際にペアレントトレーニングに参加した親御さんの感想を見ていきましょう。
どういった対応をすればこどもがわかってもらえるか、工夫をしようと考えるようになった
- まずはほめるところはないか探すだけで気持ちが前向きになれた
- 環境を整えるだけで、こどもを叱る機会が減った
- 発達障がいのあるこどもの育児の悩みを同じ立場の参加者と話し合えて安心感があった
このように、ペアレントトレーニングのプログラムによって、こどもに適切なサポートができるほか、親自身の気持ちにもプラスの変化が期待できます。
吹田市のペアレントトレーニング
大阪の吹田市でも、毎年度、市のこども発達支援センターでペアレントトレーニングの講座を開催しています。
こどもの問題行動を行動理論に基づいて考えながら、こどもの間接的な支援に役立てるプログラムです。保護者同士の交流も盛んにおこなわれています。
令和4年度の開催概要は次の通りです。
- 開催場所:地域支援センター(こども発達支援センター内)
- 開催時間:10時〜11時半
- 開催日程:3か月(全5回)
ただし、対象年齢によって申込期間や実施日が異なります - 参加対象:地域支援センターを利用したことがある保護者
- 申込方法:吹田市電子申込システム
吹田で発達障がいのこどもの子育てで悩んでいる親御さんは、ぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ:吹田の発達障がいのこどもの親が受けられるペアレントトレーニングとは?
自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障がい)を持つこどもの親を対象にした支援体制が国を挙げて推進されています。ペアレントメンターやペアレントトレーニングもそのひとつです。
大阪・吹田でも市のこども発達支援センターで、定期的にペアレントトレーニングのプログラム講座が開催されています。こどもの困った行動でどう対応すればいいか、日常生活で子育てに不安を感じている親御さんにおすすめです。
こどもの発達面で不安がある場合は、地域にある児童発達支援や放課後等デイサービスでも相談を受け付けています。吹田の放課後等デイサービス「New Step大阪」では、発達障がいのこどもたちが日々通っていて、発達支援に精通したスタッフの指導の下、生活習慣や運動などの療育を受けています。
こどもにより良い支援をするためにも、放課後等デイサービスの利用もぜひ検討してみましょう。
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